本業とは直接関係なく、環境経営やCSRの一環として
森林整備・活用に取り組む企業が、ここ数年、急増しています。



当社が環境報告書を発行する企業(任意227社)を調べたところ、
1990年代の10年間に開始した企業による森づくりの取り組み数と
2000年〜2004年の5年間のそれを比べると約2.4倍に増えています。
(上グラフ参照。注・複数個所で取り組む企業もある)

その背景には、
・森林に起因する自然資源を事業で使用する企業としての責任
・環境経営の一環で社員や市民の環境教育の現場として森林の有効性
・将来における排出権取引の取得可能性
などいくつかの理由があります。

一方で、温室効果ガス発生抑制目標6%のうちの3.9%を森林整備に
よる吸収量で賄う計画が、現行では達成できない(2.9%に留まる)
との試算もあることから、森林整備の担い手として企業に寄せられる
期待が益々高まってきているという背景もあり、森づくりに取り組む
企業が増えてくるものと予測できます。

ところで、こうした動きを一つ一つ調べていくと気づくことがあります。
森林活用を評価する指標となる当該年度別の整備面積などをきちんと
公開していない企業が多い、ということです。

林野庁は整備した森林面積から吸収量を算出してその総量の年度報告を
2007年から実施する予定です。つまり森林整備によってどの程度
二酸化炭素吸収に貢献したのかが、はっきりと分かるようになります。
森づくりの取り組みについてのデータを明記しない、ということは、
取り組みについて評価を受ける機会を逃すことになります。

逆に、年度毎に整備総面積や参加者のべ人数などを公表した上で、
「なぜ、森づくりに取り組むのか」
「今年度は○○相当の二酸化炭素量を吸収しました」
「今年は○○○人もの森林ボランティアが森林整備に参加しました」
といった、
森林活用に取り組む理由やその効果(貢献度)をきちんと説明できる企業は、森づくりの取り組みによってブランド価値を高めていくでしょう。


今後は、
「森づくりに取り組んでいます。」だけでは評価されなくなる時代。

きちんと取り組み内容を把握し情報を公表する、
情報を公表することの意味を理解する、といった点が重要になってきます。