「人間が自然と闘ったり、自然からいろんなものをもらったりして
暮らしているうちに、うまいことできあがった景色なんですよ、これは。」

※高畑勲監督『おもいでぽろぽろ』で田園風景を描写したセリフ

奥多摩での森林ボランティア研修(※)で、山での暮らしを守るために、
駅から徒歩1時間の山中にある家と、山のふもとにある家、二つの家を
行き来しているご夫婦にお会いしました。
 ご主人曰く「この集落にはほかに4世帯がいたけれども、みんな山を
降りていった。しかし、先祖代々受け継いできた山での暮らしを全て
捨てて山を降りるのはもったいない、次の世代に受け継ぎたい」とのこと。

 寒さと傾斜のきつい山での暮らしは、畑の手入れや交通の便など都会
暮らしに比べると大変なことも多いかもしれません。しかし、だからこそ
それをのりきるための知恵があって、その一つ一つがその地域の文化をか
たち作っています。
 たとえば、この集落周辺では米がとれないために雑穀が主食になります。
渋みのある「とち」を使ったとちだんごを食べる、というのも昔の知恵。
独特のよい香りがあるこの料理も失われつつある食文化です。

 都市近郊の山村には廃村になってしまった集落が多くあります。冒頭の
映画のセリフを借りれば、それは人と自然が格闘したり恩恵をうけたりし
た景色がなくなり、数々の知恵、文化がなくなってしまったということ。
くしくも東京の奥多摩という身近な山で多くの集落が廃村になっているこ
とは驚きもあり、惜しい気持ちもします。
 かつての自然と共存していた暮らしには、その土地にある資源を枯らすことなく最大限に活用する知恵や技術があります。こうした昔の知恵を見直し、学んで、伝えることもこれからの森林ボランティアの大きな役割ではないでしょうか。

 森林ボランティアが地元の人々と交流し、忘れ去られていたその知恵を
共有する場をもっと増やすべきだと考えます。当社の経験においてもそうでしたが、ボランティアが時代の流れの中で埋もれつつあるこの知恵に気づくことは、地元の人を元気にさせることにもなります。つまり、都市に住む人は自分達の暮らしや社会を見直す手ががりを得て、地元の人が身近な森林や地域文化の価値を見直す機会になるような交流。森林の整備活動だけでなく、地域も活性化する取り組みが求められています。
 今後、当社としてもこのような場を提供していきたいと考えておりますので、ご関心のある方は是非ご意見ください。

※ 研修については当社HP「つぶやきhttp://spfarm.exblog.jp/」もご覧下さい