当社は、森林・林業の業界で13年程仕事をさせていただいています。その内容は、広報・PR、CSR他様々ですが、やはりここ数年一番多いのが、森林保全と林業の成長産業化を目指すための担い手の育成事業です。担い手育成と言ってもその幅は広く、研修事業全体の体系づくりや各研修プログラムの企画・設計、設計した研修の運営(事務局)、研修や会議のファシリテーション(ファシリテーター)、一部科目の講師、個別の事業体の組織づくりやチームづくり等様々です。この中でも、研修の運営(事務局)とファシリテーターとして参加させていただく時間が一番多く、たくさんの研修生や講師等と一緒に様々な経験ができたことは、今日の当社そして私にとっての大きな財産になっています。合わせて、研修の効果を高めるためのファシリテーション(ファシリテーター)の重要性を森林・林業界における研修で普及させ、今では多くの研修で採用されるようになった一助を担えたこともうれしく思います。

同時に、今日を含め、当方がこれらの事業に関わらせていただいた時期は、森林・林業における政策の大きな転換期でもあります。今年度からは、森林経営管理制度や森林環境(譲与)税が導入されたこともあり、今後期待される森林・林業の担い手の役割も大きく変わってきました。また、それに伴い担い手の育成方法も変えていく必要があると考えています。その中で重要になってくることの一つが林業事業(経営)体の意識改革です。一言で言うと経営者や管理者のマネジメント力を高めるということ、つまりは事業体の収益に関することだけではなく、組織や人づくりに経営者や管理者が主体的に関わり、その力やノウハウを組織内で築き上げながら生産力を高めていくということです。当社では、これまで組織やチーム、人づくりを行いたいと希望する事業体のサポートにも携わってきましたが、その事業体が求める答えを直接出すようなことはしてきませんでした。その理由は明確です。組織や人づくりは、結局は自分達で何をすべきか考えて計画し実行、改善していかなければ成しとげられないものですし、何より第三者がすぐに効く改善策など提供できないからです。組織づくりや人づくりに必要なのは、相手が求めている答えを提供するコンサルティングでは無く、答えを自分達で考え導き出せるようにするコーチングだと私は考えています。時間は少しかかるかもしれませんが、組織や人づくりとはそういうものだと思います。また、誰かが用意した研修に行かせることは、知識や技術を身に付けるための動機付けになるかもしれませんが、人や組織はそれだけでは成長しません。研修も含め、自らの組織で何を目指し、そのためにどのような人材をどのように育成していくのか、その方法の一つとして研修等をどのように活かすのか、事業体の経営者や管理者が主体的になって、職員を巻き込みながら考え、築き上げていくことが大事であり、それこそが事業体そのものの成長と発展につながるのだと思っています。

それともう一つ、林業事業体(経営者や管理者)の意識改革と合わせて重要になってくるのが“指導者”としての森林施業プランナーとフォレストリーダー(FL)・フォレストマネージャー(FM)の能力向上です。これらの者は、それぞれに林業を推進していくための専門的な知識と技術を備えた技能者としてその活躍が期待されていますが、これまでは“専門的な”の中で“指導力”というものがさほど重要視されてきませんでした。各研修の中においても、指導力の重要性と実際の指導力向上方法についての学びの場はほとんどありません。何故なら、これまでの研修体系では、森林施業プランナー、FL・FMとも、先ずは個々の現場実践者としての知識・技術を身に付けてもらうことが目的であったからです。確かにこれまではそれで良かったのだと思います。ただ、時代が変わり、林業の成長産業化とそれに資する各技能者のキャリアアップの必要性が問われてきている昨今において、求められる担い手の役割も変わってきているのです。その中で今度最も重要になってくるのが、次の新たな担い手を育成する“指導者”の養成です。林業の現場における実際の制度においても、FLやFM研修を修了し大臣登録された者がOJT研修等の指導者になれるということになってきます。しかし、現在のFL・FM研修、さらにはプランナー研修等の体系、時間、内容(カリキュラム)において、本当の意味での指導力を身に付けてもらうにはとうてい無理があります。本来、個の実践者であるプランナー、FL・FMに必要なスキル(自分ができるようになること)と、昨今必要とされるようになった“指導力(人を導き、あるいはあることを教え、確実にそれらを身に付けてもらうこと)”に必要なスキルとは異なるものですので、この“指導力”を身に付ける学びの場は新たに設計・体系づける必要があると思っています。

森林・林業の成長産業化を図っていくためには、川中や川下を含め、この他にもたくさんの改善・改革が必要だと思いますが、その主たる一つである川上における担い手育成のあり方を見直す時期が来ていることは間違いありません。時代や状況に沿った意識改革策や、新たな人材育成のステージをどうつくるのか、今まさに重要なターニングポイントの上に立っているのだと思います。
当社では、これらについて関係各者に声(意見や提案)をあげながら、改善・改革、施策等の立案・実行・検証に取り組んでいく考えでいます。
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