寄り合いひろば

森林と里山の保全・有効活用を本気で考えるブログ
S.P.FARMが提供する当ブログは、 森林を取り巻くさまざまな立場の方々とつながり、森林と里山の保全・有効活用を実現する「寄り合い」の場です。
S.P.FARMは 都市と農村、企業と森林をつなぎ、新しい “森林活用のかたち”をご提案することで、 日本の森林・里山を有効的に活用する新しい社会システムの構築をめざします。
  「企業との連携による森林再生・活用プロジェクト構想」http://www.sp-farm.com/moriduku.html(S.P.FARMのHP内)も是非ご覧ください。
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林業の成長産業化には「働きやすさ」と「働きがい」の両方が大切
昨今、林業の成長産業化を目指すべく、政府を中心に様々な法整備やあらたな制度が構築されてきておりますが、実際にそれらを遵守あるいは活用する林業経営体の方々の意識や組織体制はまだまだ追いついていないように思います。本来、競争の厳しい産業においては、あらたな法や制度等が導入されるとなると直ぐにその内容を検証し、競って対応策を考え、場合によっては組織の体制や仕組みまで変えるなど、勝ち抜くために多大なエネルギーを注ぐものだと思いますが、林業の場合は他の産業と事情が異なります。材料(資源)の所有者、収穫(伐倒・運材)者、製材・加工者、販売者等の多くが、それぞれ異なる経営体からなっており、特に所有者は個人、収穫者の多くは地域密着(限定)型の中小企業や森林組合が担っており、他の産業と比べて競争の原理が働きづらい業態なのだと思います。
また、林業経営体の多くが山村地域にあり、常に過疎化に伴う人材不足に悩まされています。林業というのは年間を通じて山に入り、木を伐り、木を伐り出す道を作って運び出す仕事をするわけですから決して楽な仕事ではありません。加えて所得(賃金)は平均的には一般のサラリーマンのそれと比較しても低いというところが多いこともあり、働き手不足は慢性化しています。
そして、何より残念なことは“林業は補助金がなければ成り立たない。そんな状況で経営改善や組織改革などする意味が無い”と思い込んでしまっている林業経営体の経営者が少なからずおられるということです。組織のトップがこのような考えでいるうちは、林業の成長産業化は夢の夢にすぎないように思います。

一方で、そのような状況下においても早々に組織改善や改革に取り組み、特に若い人達が中心となって地域産業を支えるほどまでに成長させている林業経営体も存在します。そのような経営体は、経営者がしっかりと“経営”をしているからこそという一言に尽きるのかもしれませんが、私が見る限りそれらの経営体は共通する二つのポイントを抑えているように思います。
先ず一つは、組織の中における「働きやすさ」の整備です。働きやすさとは、待遇(給与)の改善や安定化、安全装備等の支給、福利厚生の充実、休暇・休養制度、レクリエーション等従業員の心配や不安をできるだけ排除した職場環境を整備することです。勿論、待遇を急に良くすることは無理かもしれませんが、例えば雨天で現場作業ができない場合でも他の業務に回ってもらい、出来高ではなく月給制に変えて生活の安定を図るようにする。あるいは一定の休暇制度を導入し家族サービスができる時間を増やすなどいろいろ考えられます。ただ当然、これら全てを一律に改善できるものではなく、自分達にとって必要な(働きやすくなる)こととは何かを検討し、可能な範囲で導入するということです。
“働きやすさ”はすでに多くの一般企業では検討・改善されていることであり、若手や家族持ちの人材の確保や継続的な従事にもつながっています。今まで「働きやすさ」を追求することなどできない、やれないと思い込んでいたいくつもの林業経営体が改善しはじめているのも事実です。それが経営であり経営者の役割だと意識を変えたからこそ実現したのだと思います。
次に「働きがい」の提供です。実は前記した「働きやすさ」の整備には当然ながら限界があります。それは大方の従業員も理解できるはずです。ただ、人は面白いもので「働きやすさ」を提供すると一時的に不満を抱かなくなりますが、すぐにその状況になれてしまい、「もっと○○であれば・・・」という思いに駆られていくものです。その時こそ重要になってくるのが「働きがい」です。「働きがい」とは、ある程度の責任を持たせる仕事をしてもらうことです。責任を持つことを嫌う人であれば“期待”という言葉に置き換えてもよいかもしれません。その上で、それを達成するための目標を持たせ、それを経営者(上司)と共有し実行させ、その結果(成果)を認(褒)めてあげることです。人は他者に認めてもらうことで達成感や満足感を抱き成長していきます。また次のステージに上がるための動機付け(モチベーション)にもなります。勿論うまくいかないこともあると思いますが、その時は何故うまくいかなかったのか、どうすればうまくいくのかを自分で考えさせることが大切です。(それが分かることも達成感になります)
実は「働きがい」は「働きやすさ」より重要だと言われています。今日の林業経営体においては、どちらも検証・整備されていないところがある一方で、「働きやすさ」だけ改善を試みているところも少なくありません。ただ、前述したように「働きやすさ」の追及には経営的にも人間の心理的にも限界があります。成長している林業経営体は、その時の経営体の業況、事情に沿った「働きやすさ」と「働きがい」のバランスを考えながら整備しているように思います。

林業の成長産業化を現実のものにするためにも、その原動力となる林業経営体が何を大切にして組織づくりを行なっていくのか。「働きやすさ」と「働きがい」と言う視点から見直していただきたいと思いますし、様々な場面で当社からも働きかけていきたいと考えております。
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