釜石地方森林組合が、イギリスに本社を置く金融機関バークレイズグループの支援を受け、2015年よりスタートした『釜石・大槌バークレイズ林業スクール』の2018年のオープンセミナーに講師として招かれ参加してきました。テーマは「林業事業体の経営・組織運営の実情と課題、今後の可能性について」です。“経営”を専門とはしていない当社ではありますが、過去10年間に渡り林業の担い手の育成事業や各種調査、組織づくりのお手伝いをさせていただき、正面から数多くの森林組合や民間の林業事業体と向き合ってきた中で見えてきたことについて私なりに話をしてきました。参加者の多くが岩手県内、しかも顔見知りの方々もいたせいか、質問や鋭い指摘等もたくさんいただき、私にとっても新鮮かつ有意義な時間となりました。

そんな中、非常に感銘を受けることがありました。地元釜石出身の18〜25歳の3人の研修生(いずれも釜石地方森林組合で修行中)の言葉(思い)でした。「何故、林業という仕事に就こうと思ったの?」という私の問いかけに、目を輝かせつつもさらっと「東日本大震災や昨年発生した大規模な山林火災を目の当たりして、自分でも地元の復興に何らかのかたちで参加したいから」と答えたのです。個人的な欲がないわけではないのに、皆個のことよりも周りや社会を思いやる気持ちが強く、勝っているのです。この若者たちが震災等を経験してどのような思いを抱いたのか、またあの時からの苦労をどのようにして乗り越えてきたのかはわかりませんが、少なくとも個々に芽生えた地元や人に対する思いを、周りの人や社会が大切に育み支えてきたのだろうということは想像できます。
それはもう既に復興という枠組みではなく、皆が主体となって取り組める新たなコミュニティや社会構造を構築する働きに変わってきているのだと思います。

人材育成というと、とかく知識や技術を植え込む事と考えられがちですが、それ以前に、大切にしなければいけない価値観やポリシー等を育む環境を整備、あるいは提供することこそが重要なのではないかと改めて気づかされました。
この先、この若者たちの思いが是非ともかたちになることを願いますし、我々もまた、共に苦労をしてきた地元の方々と同じようには出来ないかもしれませんが、我々にできる方法でそれらを支援していきたいと思っています。
そんな気持ちを抱かせてもらえた釜石の空気、色、人、思いに感謝します。
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