寄り合いひろば

森林と里山の保全・有効活用を本気で考えるブログ
S.P.FARMが提供する当ブログは、 森林を取り巻くさまざまな立場の方々とつながり、森林と里山の保全・有効活用を実現する「寄り合い」の場です。
S.P.FARMは 都市と農村、企業と森林をつなぎ、新しい “森林活用のかたち”をご提案することで、 日本の森林・里山を有効的に活用する新しい社会システムの構築をめざします。
  「企業との連携による森林再生・活用プロジェクト構想」http://www.sp-farm.com/moriduku.html(S.P.FARMのHP内)も是非ご覧ください。
活気ある街
10月22日(月)から5日間、フォレストマネージャー研修で広島県広島市に滞在しました。森林・林業に係る研修の多くは都心(座学が中心)か地方の山間部で行われるのですが、本研修(西日本在住者が対象)はここ数年、3日目の現地研修(同県の廿日市市で実施)を除いて終日広島市の中心部で行っています。広島市で実施するのは、対象となる研修生の交通の便、研修会場、宿泊施設、現地研修の受け入れ先事業体有無等の諸条件が揃っているからです。

この広島での研修に参加すると毎回思うのが、広島というところは街や人に活気があるということです。昨年も今年も広島カープのリーグ優勝と日本シリーズに向けての応援で盛り上がっている時期だからという感も当然ありますが、それを含めて「街を盛り上げよう」、「それをみんなで楽しもう」という“地熱(地元を思う熱)”のようなものが街の方々を観たり接したりする中で感じられたのです。それを地元の方に尋ねてみると、「一時的なカープ熱でしょ。でもそれを楽しもう、盛り上がろうという気持ちは確かに強いかもしれない。それ以外ないから・・・」という答えが返ってきました。そうなのか・・・でも、そこが良い、羨ましいと素直に思うのです。ある程度の大きな街の色が一色に染まり、目に見える範囲の街全体が活気に包まれる感覚は、普段東京で暮らしている私にとって新鮮であり、また懐かしくもあります。私は東京が嫌いなわけではありませんが、このような地熱や活気を感じることはほとんどありません。私に限らず東京に住む多くの方々はいわゆるよそ者が多く、根っからの地元意識をもっている人は一部の方々です。勿論町内会や自治会、商店街等比較的小さな規模の“地熱”をもったコミュニティは各地にありますが、その規模のコミュニティにはなかなか新参者は入りにくいものです。
おそらく東京という巨大な街は、個の欲求や事情を優先し、それを個や小さなコミュニティで満たされるコトやサービスがあふれているので、地熱や活気をあえて持たなくてもそれなりに充実した暮らしができてしまうのかもしれません。(どれだけの人が本当に満足のいく暮らしができているかどうかはわかりませんが・・・。)
私は、前記した広島の方がおっしゃった「それ以外ないから・・・」という言葉はとても大切なことだと思っています。盛り上がるものが無いからそれを自分たちが主体になってつくり、さらにみんなでそれに乗っかり楽しんでしまおうとすることこそが活気ある街をつくることにつながっていくのだと思います。そして、それが出来るか否かは街の規模にも大きく関わってくるのだと思います。また、「それ以外の」“それ”つまりは熱を上げさせるモノ(コト)が有るか無いかにもよります。“それ”とは、広島の場合はカープのようなスポーツチームであり、その他の街であれば地元の祭り、その他の参加型イベント等が“それ”にあたります。

ここで広島が良くて東京は駄目だということを言うつもりはありません。そもそもどのような街が良いのかの価値観は人によって異なります。ただ、地熱や活気を感じられる街はとても魅力的ですし、そこにいる方々の幸福度も高いのではないかと感じます。逆に言えば、街づくりには街の規模とそこにある資源(モノやコト)を見据え、その街で暮らす(社会活動をする)人々の手で、地熱や活気をどう創出させていくのかが重要なのではないかと思います。
これからまた、地方出張が続きいろいろな街に出かけます。地熱と活気という視点から街を観る楽しみが増えました。それに気づかせてくれた広島で出会えた方々に感謝です。
| spfarm | - | 12:24 | comments(0) | - | - | - |
森林の保全、林業の担い手も世代交代へ
 平成10年12月に施行された特定非営利活動促進法を受けて、森林保全や整備に係るNPO法人が多数誕生しました。当時は、団塊の世代の方々の早期退職や定年退職後の社会活動の場を作ろうという働きがけが多方面であったということも、多数誕生した背景にあったと思います。ただ、その時の活動の多くは手鋸やナタを持って山林や竹林、里山に入り、もっぱら額に汗かき間伐や下刈り等の整備を行うというものだったと思います。
あれから20年経った今日、もちろん当時のように間伐や下刈りの整備を続けている団体もありますが、活動の目的や幅、そして参加する方々の層がずいぶんと広がってきていると思います。森のようちえんや森林セラピー、地域コミュニティの再生等、森林整備を主たる目的にするのではなく、教育や健康増進、地域や人間関係の醸成を主の目的に、森林をそのフィールドやツールとして活用する活動も各地で多く見られるようになりました。20年前はおじさん達の活動フィールドであった森林が、今やお母さんと子供達、女性や若者、さらには障害者が集うフィールドへと変わってきています。
 他方、林業の担い手についても、その層やその方々の意識がここ10年で変わってきたと感じています。未だに3K(危険・汚い・きつい)という印象が払しょくしきれない林業ではありますが、高性能林業機械やICT等の導入、さらには自然の中で達成感のある仕事に就きたいという若年層の参入により、森林組合や林業事業体の経営や働き方に対する意識、体制が徐々に変わってきています。その背景にある大きな要因の一つに“教育”があると私は考えています。それまでは現場での一作業者として、それに必要な技術のみを教えていたのが、制度改革等に伴い、組織やチームで生産性の向上を目指すためのキャリアアップを踏まえた技能者としての知識や技術を学ぶ教育システムを導入したこと、そして学ぶ意欲のある若年層が増えたこと、さらには10年前には若年層であった方々が、今日においては組織の中核になり、組織運営や経営に携わるようになったことが影響しているのだと思います。また、それはまぎれもなく林業事業体引いては林業の成長と発展につながってくることだと言えます。私はこの傾向は今後も続くと考えています。厳密に言うと、成長・発展する事業体だけが残り、それが出来ない事業体は淘汰、消滅していくということなのかもしれません。
 森林の多様な価値が見直され、活用の仕方の幅が広がったといっても、また林業の成長産業化を目指していくにしても、まだまだ一部の方々の関心のよりどころでしかなく、もっと多くの国民に森林の整備や有効活用の必要性と重要性を理解していただかなければ、日本にある森林資源は守られていきません。そのために必要なのは、「啓蒙・啓発」と「教育」、そして「動機付け」です。それらを一つずつ着実に実施していくことで、さらなる10年後にはまた新たな成長と発展が見られると思います。これまでも、これからも、それを信じて進むのみです。
| spfarm | - | 12:59 | comments(0) | - | - | - |
外の風にあたる
8月21日からの3日間、森林施業プランナー研修に参加するために岩手県の安比高原に行ってきました。連日の都内の酷暑から解放されるものと期待していたのですが、台風19号、20号がフェーン現象という置き土産を残していったお陰で、めったにない北国の高原地帯での猛暑というものを体験することができました。

さて、この森林施業プランナー研修には、10年以上前にその当時のプランナー研修に研修生として参加した方々が講師やアドバイザー等として3名参加しました。私にとってもとても懐かしい仲間と言えるメンバーです。その方々の当時の役職は確か主任や係長等の中堅クラス?になったばかりだったかと思いますが、今や全員が組織の実質的な経営に携わる参事になっておりました。当然ながら既にプランナーの業務は後継者に引き継ぎ、今は組織全体をけん引する指導者として活躍しております。
ずっとこの研修に携わらせていただいた私からしますと、当時の研修生が組織や地域のリーダーとして活躍されている状況を目の前で見聞きすることができたことは何とも嬉しく、また不思議と感謝の気持ちが湧いてきました。懇親会でも、ついつい近況を深く突っ込んで聞いてしまいました。
この3名の参事が、どのような経緯を経て今の立場に就かれたかはそれぞれかと思いますが、林業事業体の中に比較的多く残っている年功序列というものではないと私は考えています。現に、同時期にプランナー研修を受けた方々でも役職に就かれていない方等も少なからず存在します。
その中でこの3名の参事をはじめ、プランナーから組織の経営者になられた多くの方々に共通して言えることは、それらの方々は、この10年余の間で地元内外の様々な人に積極的に接し、いろいろな刺激や気づきを得ながら多くのことを吸収し、それを積み上げてきた方々であると私は思っています。自身の視野や思考を常に広げていく努力の結果が組織や人を客観的に見られるように、そしてそれを動かせるようになっていったのだと考えます。このことは、プランナー研修で学んだというよりは、プランナー研修が一つのきっかけになったと考えるべきだと思います。またきっかけは講師からというよりかは、むしろ同じ仲間、研修生同士からの刺激が大きな要因となっているのだと考えます。

人材育成のための研修等を企画運営し、その質を高め最大の成果を出せるよう努めるのが我々の使命ではありますが、それでも研修等でできることには限界があります。
故に、研修に参加させれば人は成長するという思い込みがあるとすれば、それは冷静に見直す必要があります。研修等への参加は勿論意味のあることだとは思いますが、それとは別に意図をもって様々な人と交流する、その中で新たな気づきや発見を促すこと、組織であればその機会、つまりは外の風にあたる機会を職員等に与えることこそが成長を促す大きな動機付けになると思います。
特に、林業という世界の中では、この外の風にあたるという機会が圧倒的に少ないと感じています。おそらくそれは、労働力を外に流出させたくない、地域や組織の中に労働力を囲い込んでおきたいという保守的な考えがあるからだと思います。人手不足が顕著な地方都市であれば、そのような考えになることはわからなくもありませんが、それでは人は成長しませんし、その人の中にある才能を開花させることも難しくなります。そうなると、結局は他の成長できる場所や自分の可能性を活かせそうな魅力ある場所を求め去っていきます。
外の風にあたる、あるいはあたらせることは大切な人材を失うということにはなりません。
むしろそれを促す組織や上司への信頼は高まると思っています。
そのことは、全国各地域で活躍する経営者になった多くの森林施業プランナーが証明しています。
| spfarm | - | 09:38 | comments(0) | - | - | - |
ICT等を活用した路網整備推進技術者育成研修
6月に配信しましたS.P.Farm通信でも少し触れましたが、いよいよ今年度より、林野庁でも林業成長産業化総合対策の一環として、ICT等を活用した、とりわけ路網整備に係る高度技術者を育成するための各種事業が始まりました。当社においてもその中の一つである「ICT等を活用した路網整備推進技術者育成事業」に関わらせていただいています。

国内の林業界におけるICTの導入は、欧米と比較するとかなり遅れをとっていながらも、数年前から少しずつその活用が始まっており、ここ1〜2年で急激に脚光を浴び始めたように思えます。とは言いつつも、ハード・ソフトの両面でも、またインフラにおいてもまだまだ開発半ばといったところで、これから本腰を入れて取り組んでいくことになるのだと思います。どのくらいのスピードでICT化が進むかは未知数ではありますが、林業就労者人口は確実に減少しながらも、国産材の利用拡大に向けて様々な対策が講じられていくことは確実であり、林業界全体でICT化を推進させていくことは必要不可欠な時期にきているのは間違いないと思います。

実際の研修では、ICT関連の様々なソフト(ツール)の操作(活用)方法等についても学びますが、そこは単なる技術の習得ではなく、そのツールを最大限活用しつつ、いかに高効率かつ低コストで木材を搬出する路網を設計するか、またその結果、その地域での林業の成長産業化にどのようにつなげていくか、その構想を描ける者を育成するためのカリキュラムで構成され、講義、演習、現地実習を行います。また研修は、中央(都内における集合)研修が全5回、その後全国7ブロックに分かれての現地研修が各1回ずつ開催されることになっています。ちなみに、本日現在においては中央研修の第4回目が終了したばかりです。受講生は、国や都道府県、市町村の行政担当者をはじめ、民間企業や森林組合の職員等様々で、そのほとんどが初めてICTを学びにきた方々です。
研修を企画・運営する側も同様で、専門講師(研究者や技術者)の力をお借りして、手探りながら必死になって対応しているというのが実情です。

新しい(研修)事業を立ち上げる時というのはそういうもので、その時の苦労が良いものを創り上げる原動力となると信じていつも取り組んできました。
おそらく、本研修が今後林業界において増えてくるであろうICTに関する様々な研修、あるいは林業4人材(森林総合監理士(フォレスター)、森林施業プランナー、フォレストマネージャー等の統括現場管理責任者、森林作業道作設オペレーター等)を企画・設計する上での一つの基準、あるいは道導になるものと思いますので、我々もそういう視点で学べることはしっかり学びながら、研修自体の成果も出せるよう今後も挑んでいきたいと考えています。
| spfarm | - | 09:20 | comments(0) | - | - | - |
森林環境税・譲与税の導入 林業の成長産業化にどのようにつなげるのか
先般、森林経営管理法が閣議決定されました。少し気が早いかもしれませんが、今後は森林環境税も導入され、平成31年度からは森林譲与税が運用されることが見込まれています。運用する主体は市町村ではありますが、森林・林業専門の担当者がいるところは少なく、都道府県担当のバックアップを得ながら、実務的な部分では地域の多様な利害関係者が主体となる協議会等によって運用されるのでは、という声が聞こえてきます。仮にそうであったとしても、実際に山林に入り施業プランを立て、伐採・搬出あるいは整備するプレーヤーの主体は、林業に携わる森林組合や素材生産等をおこなう林業事業体、そして一部の森林ボランティア団体になってきます。そういう意味では、それらの担い手に対する期待が益々高まってくるはずです。しかし、林業や森林整備の担い手は年々減少、その期待に応えられるだけの人材が確保できていないのが実態です。その背景には、林業の3K(きつい、汚い、危険)の払拭の遅れや賃金の安さ、従事者の高齢化、歯止めがかからない地方の過疎化等様々な負の要因の改善が進まないという問題があるのだと思います。このような状況で、いくら地方交付税を増やしても事態の改善は厳しいものと言わざるを得ません。

だからこそ早急に行わなければならないのは、林業に従事する事業体の抜本的な経営改善と川下からの新規事業体参入のための仕組みづくり、ICT化による高効率・低コスト林業の確立と3Kの払拭、サプライチェーンマネジメントなのだと思います。どこか一カ所の梃入れでは無く、川上から川下まで一体となった改革に取り組む必要があるのです。これまでにも林業の再編や改革は行われてきたのだとは思いますが、川上から川中、川下までの距離の縮まり具合が鈍く、連携や協働とは言葉ばかりで、川上にいくほどお金や人、情報等が回ってこないという状況に陥っているように思います。反面、その状況に対する“仕方ない感”や“改善先延ばし感”、“責任転換感”は川上の中で滞留しているように感じます。

しかし、今やそんなことを言っている場合ではないのです。今こそ、人と情報、知識や技術を林業界全体で交流させ、競争と連携との両輪でビジネスチャンスをしっかりと確立していく必要があるのです。川上においては、人数という点では圧倒的に人材不足であることは事実ですが、これまでにいなかった優秀な人材が育ってきているのも事実です。他方、川下から儲かる林業を目指して川上に参入しようとしている優れた人材も出てきています。今後は、そのような方々によって、整備・導入が進んできているICT等を活用しながら、これまでにない林業のあり方を一緒になって考え、あらたなビジネスモデルをどんどん構築してもらえたらと願っておりますし、一部では、既にそのような取り組みが始まっているとも聞いています。
この転換期に変われるか否か、我々自身も含め今がまさに決断、勝負の時なのだと思います。
| spfarm | - | 10:48 | comments(0) | - | - | - |
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